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田中良紹(たなか・よしつぐ)氏が田中良紹の「国会探検」というブログで鋭い切り口で「最大の震災復興策は菅総理辞任」というタイトルで書かれているので以下に紹介する。

 危機の時にリーダーが判断を間違えると国民は長い苦しみを味わう。バブル崩壊から現在に至る「失われた時代」がそれを物語っている。バブル崩壊後の経済危機の時代に橋本龍太郎総理が「財政健全化」を断行した事が日本を長期大不況に陥れた。

 海部政権で大蔵大臣を務めた橋本総理は大蔵官僚の影響下にあった。1996年に総理に就任すると政府の債務が対GDP比で他の先進諸国を上回っていることを理由に、「改革」と称して消費税増税を行い国債を減らす緊縮財政路線を採った。

 その頃私はワシントンに事務所を構え、アメリカ議会情報を日本に紹介する仕事をしていたが、アメリカの学者も政治家も日本政府の緊縮財政路線に驚いた。そんなことをすれば内需は抑制され不況が到来する。日本は世界一の金融資産を持つ国で、債務と資産を比べれば、「財政危機」を騒いだり、「財政健全化」を言う状況ではない。それがアメリカの見方だった。しかし日本は緊縮財政に踏み切り、アメリカが予想した通り大不況になった。

 それより前、日本がバブル経済を崩壊させた時もアメリカの学者や政治家は呆れた。バブル経済による地価の上昇が問題になると、日本の大蔵省は金融機関に「通達」を出して不動産関連企業への貸し出しを一斉に停止した。「バブルを収束させるには余りにも乱暴。日本にバブル経済をソフトランディングさせる知恵はないのか」とアメリカは言った。

 「通達」というのは法律でも何でもない。「お上」が身内に出す指令である。ところがそれによって国民全員が奈落の底に突き落とされた。アメリカの懸念通り、混乱は不動産業界にとどまらず日本の全産業に波及し、経済大国を誇ってきた日本はあっという間に「失われた時代」に突入した。

 官僚は国債が増えれば金利の支払いが増え、その分税金の使い道が制約されるから困ると考える。しかし国債を持っているのは国民で、国民にとって国債は孫子の代まで収入を保障される資産である。それを官僚は「孫子の代までツケを残す」というレトリックで危機を煽ってきた。増税したいがためのレトリックである。

 アメリカから見れば橋本総理の緊縮財政は全く理解できない政策であった。橋本総理の後を継いだ小渕総理は、緊縮財政で不況を招いた反省から一転して国債を増発する政策を採り、自らを「世界一の借金王」と呼んだ。しかし既に大不況に陥った日本は国債発行で公共事業を行ってもカンフル注射程度の効果しかなく、病は癒えるどころか財政赤字が積み上がるだけとなった。

 そして小泉政権が登場すると再び緊縮財政路線が復活した。小泉総理は大蔵政務次官を務めた事のある「大蔵族議員」である。さすがに増税は封印したが、財政収支の黒字と赤字を均衡させると言って「構造改革」を始めた。ところが緊縮財政路線は税収を減らす効果を生み、財政収支はますます悪化した。

 また小泉政権は、強い者をさらに強くし、強い者の利益のおこぼれを弱者にしたたり落とさせる事で経済を上向かせようとした。ところが弱者は全く恩恵を実感できず、格差は開くばかりで、弱者はしたたり落ちるのを待てなくなった。それが09年の政権交代につながる。

 民主党が掲げたのは、したたり落ちるのを待つのではなく、国が弱者となった国民に直接分配して生活基盤を向上させ、国民に活力を与える事で経済を強化しようという政策である。それを野党は「バラマキ」と批判した。普通「バラマキ」とは「地域振興券」のように一回限りの分配を言う。一回限りだから効果は小さい。しかし子供手当のように恒常的に分配すれば政策減税と同様の効果がいずれ出てくる。

 ところが政権を失った自民党は対立軸を作るため、官僚が言い続けてきた「財政健全化」を持ち出して消費税10%増税を政策に掲げた。するとそれに同調したのが菅総理である。谷垣自民党総裁も菅総理も共に財務大臣経験者で橋本総理と同類項の政治家だからそうなる。日本は再び「失われた時代」のスタート時点に戻った。

 大震災が起き、日本が未曾有の危機に直面した時、与野党党首会談で同類項の政治家同士が話し合い、そこで谷垣自民党総裁が提案したのは復興財源を増税で賄う案だった。菅総理は谷垣自民党総裁に復興担当大臣としての入閣を要請したからその構想に賛成したのも同然である。

 橋本龍太郎氏は日本を大不況に陥れたが、官僚の言いなりになって政策を間違えた事に痛切な責任を感じていた。「国民に迷惑をかけた」と謝罪した。しかしこの時の教訓は危機に際しては初動が極めて重要だということである。石橋を叩く式の官僚的思考が危機をさらに深刻なものにする。だから大連立をしようが何をしようが同類項の政治家に危機を乗り切る事は出来ないのである。

 震災発生直後からの菅総理の行動を見ているとリーダーの資質がまるでない事がよく分かった。例を挙げればきりがないので書かないが、外国では見られないような対応が随所に見られた。だから外国の政府も私と同じように見ていると思う。

 問題は外国が資質のないリーダーに率いられた日本を御しやすいと見るか、あるいは自国にとっても利益にならないと見るかだが、現在の日本の危機的状況から言えば私は後者だと思う。特にアメリカのオバマ大統領は原子力発電の推進を掲げて大統領選挙を戦おうとしていた矢先だから、菅政権の対応には不信感を強めたと思う。

 来年はアメリカ、中国、ロシア、フランスなど大国が軒並みリーダーの交代期を迎える。その時期にはどの国も経済を上向かせたい所だから、日本に足を引っ張られたくはない。強いリーダーによって日本が危機を乗り切り、復興の初動で橋本総理のような間違いを犯さない事を望むはずである。

 菅総理は政権延命のための策として「平成の開国」と「税と社会保障の一体改革」を掲げた。それはアメリカと官僚に媚びる策であったから、震災と共に吹き飛んでしまった。これから必要なのは21世紀の日本をどう作るかという長期構想である。日本の国家改造計画である。

 戦後復興に比肩するプログラムを書かなければならない時、しかも初動を間違えないようにしなければならない時、菅総理が己を知るならばまずは身を引く事を考えるべきである。関東大震災では「大風呂敷」と呼ばれた後藤新平が帝都復興を計画したが、今回はそれ以上の規模の復興計画が必要になる。

 そうしたことに対応できるのは、かつて「日本改造計画」を書いた小沢一郎氏しか見当たらない。菅総理が後世の評価に耐えられる政治家になろうとするならば小沢氏に後事を託すことである。それが最大の震災復興策になる。




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