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サンデー時評:まるで骨なし軟体動物みたいだ

 三週続けて自民党への嘆き節を書くことになる。どうにも腹の虫が治まらない。なぜこんな情けない政党になってしまったのか。

 佐藤政権の初期、政治記者になってから四十三年になるが、この間、言ってみれば自民党ウオッチャーだった。分量的には批判記事の方がはるかに多かったが、手ごたえがあるからこそ批判もできたといえる。

 しかし、いまの自民党には手ごたえがない。批判する気力もなくなりかけている。政権を失いそうだからではない。勝敗は八月末になればはっきりすることで、それを待てばいいが、下野するにしろ、辛うじて政権を存続させるにしろ、政界再編に動くにしろ、このままの自民党ではだめだ。

 骨のない軟体動物になったように、私には映る。かつては骨っぽい人物がたくさんいて、党の骨組みもしっかりしていた。しかし、衆院を解散した日の麻生太郎首相はじめ、自民党議員の言動には末期的な骨抜きの姿があからさまだった。

 まず、解散前に開かれた衆参両院議員懇談会の冒頭で、麻生さんはこう言ったのだ。

「反省とお詫びを申し上げなければならない。一つは私個人についてです。私の発言や『ぶれた』と言われる言葉が、国民に政治への不安、不信を与え、自民党の支持率低下につながったと深く反省している。

 もう一つは、都議選をはじめ地方選において支援者の方にお力添えをいただきながら、所期の目的を果たせなかった。私に対する評価や自民党内の結束の乱れが良くない影響を与えた」

 首相あるいは自民党総裁としての資質に欠けると自ら告白しているような内容である。これではまるで辞任記者会見じゃないか、と思いながら聞いた。

 天下分け目の戦いが火ぶたを切る日、陣頭で旗を振る総大将が、檄を飛ばすかわりに反省とお詫びでは、意気があがるはずがない。バッジをはずして戦場に赴く候補者たちは可哀そうすぎるじゃないか。

 もう一つ、「『ぶれた』と言われる言葉……」という言い回しが大変ひっかかる。「ぶれた」とメディアなどが批判している、というニュアンスで、

「私の発言がぶれたために」

 とは言わない。わざとぶれさせた、それも作戦のうち、とひょっとして麻生さんは内心思っているのかもしれない。それなら謝ることはないのだ。しかし、反麻生感情を和らげるために、この際、まとめて反省してしまえ、ということなのか。反省の仕方にまでケチをつけて恐縮だが、常習的な〈ぶれ〉にいらいらし通しだった国民の側としては、ここは大事なところだ。
 ◇お詫び連発の麻生さん リーダーの資格に疑問

 一体、麻生さんはぶれてまずかったと本音で思っているのか。思っているとすれば、〈ぶれ〉はどれとどれなのか。実はこの反省の言葉からしてぶれている。麻生さんは最初、

「地方選挙は地方選挙。(結果について)私に責任はない」

 と繰り返していたのに、一転して〈私に対する評価〉が影響した、に変わった。この便宜主義は新たな不信を呼ぶのではないか。

 自信屋の麻生さんである。心底から反省しお詫びしているとは思いにくいが、同じ日、夕刻の記者会見でも、似たようなセリフを述べた。

「私の不用意な発言のために国民に不信を与え、政治に対する信頼を損なわせた。深く反省している。自民党内の結束の乱れについて、私が至らなかったため、国民に不信感を与えた。総裁として心からお詫び申し上げる」

 不信、不信と繰り返し、突然、お詫びしたからといって不信が軽減されるというものでもない。最初に、骨のない軟体動物のような、と書いたが、麻生さんのお詫び作戦にもそれを感じた。

 骨のある人なら、反省・お詫びしっ放しでなく、そのあとに、どう身を処すべきかと考える。いわんやトップリーダーだ。

〈それほどお詫びしなければならないような頼りがいのない人物に、国の政治を託せるのか〉

 と考えるのが常識的である。ところが、麻生さんは、常識などお構いなく、さあ解散だ、と言う。反省・お詫びは、〈麻生解散〉を納得させるための方便のようにみえた。

 今度の衆院選は、政権選択、言い換えれば〈次の首相〉をだれにするか、を決めるために行われる。鳩山由紀夫さんか麻生さんか、自民党候補者は、

「引き続き麻生さんを……」

 と訴えなければならないが、果たして候補者の何割が本気でそう思っているだろうか。自民党支持の有権者も、一〇%台の支持率しかない、反省・お詫び連発の麻生さんに、次期首相の期待をかけながら一票を投じるだろうか。

 どうせ自民党は負けて、そこで麻生さんは辞めるのだから、と開き直っているのだとすれば、日本の政党政治にとって、とんでもない不幸なことが進行している。やはり、自民党は、

「四度までも〈選挙の顔〉を替えるのか」

 と世間の批判を浴びても、麻生さんに身を引いてもらうべきだった。それができなかったのは、骨なし軟体動物になり果てたからだ。

 麻生さんは、祖父、吉田茂元首相が五十五年前、解散に踏み切ろうとして周囲から反対され退陣した時の無念を晴らしたのでは、といった報道がしきりである。そうかもしれないが、すでにレームダックだった吉田さんの暴走を止めた緒方竹虎、池田勇人、佐藤栄作ら幕臣の判断と行動が正しかったのだ。

 今回も側近の与謝野馨財務相らがそんなそぶりをみせたが、しょせん緒方ではなかった。吉田さんは、

「では、大磯でゆっくり本でも読むか」

 と言って首相官邸を去ったそうだが、引き際をどうするかという大事な場面での、祖父と孫の器の違いかもしれない。

 反麻生のお歴々も反省・お詫びにコロリとなった。骨なし自民党、どこへ行く。

<今週のひと言>

 山口・防府、無残。霊安かれ。

(サンデー毎日 2009年8月9日号)



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