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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] のマルチスコープ「民主党失敗の研究」を以下に紹介する。

総選挙での反発の弾力、全くなし
民主党はなぜ失敗し続けるのか?

 今回の総選挙で、与党勢力の増減と同じくらい注目に値したのは、民主党のリバウンド具合だった。選挙戦序盤では、現有の62議席を30~40伸ばして、上手く行くと100議席の大台に乗るのではないかという予測もあった。前回次点の落選議員が次の選挙で頑張る「次点バネ」への期待もあったし、実質賃金が減り続けていた庶民の生活実感が与党に対する批判につながる可能性もあった。

 しかし庶民有権者は、「民主党だったら、経済がもっと悪いのではないか」「そもそも消費増税を決めたのは民主党政権ではなかったか」と正しく気づいて、民主党に厳しい審判を下したように思われる。空気が抜けた軟球のように、民主党には反発力がなかった。その象徴が、東京一区で立候補し比例代表に重複立候補までした海江田万里代表の落選だ。

 ただし、海江田氏ご本人にはお気の毒と言うしかないが、海江田氏が落選によって代表を退き、民主党の顔と言うべき代表及び執行部が変わる流れが早く決まったことは、民主党全体の今後の党勢にとって悪いことばかりではない。

 海江田氏が当選し、選挙前よりも議員数を増やしたことを理由に、代表に留任する流れになったケースの民主党に漂う重苦しい沈滞感を想像すると、今回は同党にとって、これで良かったのだと思う。

 ところで、2009年総選挙で大勝して政権交代を成し遂げた民主党が、かくもボロボロになってしまった経緯には、企業などの組織にとっても個人にとっても、教訓とすべき失敗が山のようにある。これだけ網羅的でわかりやすい反面教師は、そういるものではない。

 2009年の政権奪取以来の民主党の大小の失敗を、振り返ってみたい。

【失敗の原因その1】
現場のマネジメント軽視


 政権時代の民主党の失敗は、路線や政策の間違いというよりは、現場、具体的には官僚組織をマネジメントできなかった「経営学的失敗」が最大の原因だったように思う。

 現場を知らない大臣、副大臣、政務官が数人で乗り込んで行って、巨大な官庁をコントロールしようというのは、敵対的買収で手に入れた大企業を数人でマネージしようとするくらい無謀だった。

 本来ならマネジメントを担える人員を養い、確保しておかなければならないし、それが不可能なら、相手を分断しつつ味方をつくって現場を動かす必要があったが、四十余年にわたる職業人生を通じてがっちり結びついた共同体である官僚集団に、「脱官僚」を声高に叫びつつ数人で突入したのだから、全く勝ち目はなかった。

 この点に関しては、特に政権初期に大きな力を持っていた小沢一郎氏(当時幹事長)に、政治家の力の過信及び、官僚組織の機能に対する無理解があったように思われる。地位と法律だけで人間が動かせると思うのは、非現実的だ。

【失敗の原因その2】
仲間割れ


 民主党政権は成立後ほどなくして、民主党の議員集団が小沢一郎氏との関係を軸に、「小沢系」「非小沢系」に分断された。

 直接証明する術はないが、筆者は官僚集団が民主党政権を弱体化させようという意志を持っていたとの仮説を持っている。民主党の側が「脱官僚」を掲げていたのだから、自然な話だ。
 組織を弱体化させるにあたって有力な手段が、組織の分断だ。政府の仕事は、官僚が情報を持ち運びながら行われる。一方にもたらす情報と、他方にもたらす情報をコントロールすることによって、一方が他方に対して疑心を抱くようにすることは十分可能だ。企業内での派閥対立が発生・強化される際にも、同様のことが起こる。そしておそらくは、マスメディアもこの動きに協力した。

 民主党内の仲間割れをつくるにあたっては、個々の政治家がもともと持つ権力・出世指向の他に、猜疑心が強く敵味方を峻別して人と組織を操作する小沢一郎氏の性格が利用されたし、権力欲が強く自分が首相でないことに不満を抱いていた菅直人氏が、大いに利用されたように思う。

 政府のコントロールに当たって、民主党の初期の躓きに、副総理格の菅氏がトップとなって霞ヶ関をコントロールする機能を持つはずだった内閣戦略局が立ち上がらなかったことにあったが、これは政治家によるコントロールを嫌う官僚と共に、自分が総理でないことをすねた菅氏のサボタージュによるものではなかったか。

 その後の小沢氏一派との対立にあっても、菅氏は一方の中心的な役割を果たしたし、東日本大震災と福島第一原発の事故の対応の拙さ、さらにいきなり消費増税を言い出して政権転落の重要なきっかけとなった参院選での敗北など、民主党の退潮に菅直人氏が果たした役割は限りなく大きかった。

 民主党は「官」(=官僚)と「菅」の2つに「カン」によって、ボロボロになったと筆者は考えている。

【失敗の原因その3】
デフレ的な政策


 経済への無理解が民主党政権を潰した面も、看過できない。

 民主党内にもリフレ政策をよく理解していたメンバーがいたはずなのだが(たとえば金子洋一参議院議員)、民主党政権はデフレと円高を放置し、株価も低迷した。
 後のアベノミクスの「第一の矢」(=金融緩和)は、民主党でも十分に放つチャンスがあったはずなのに、全く惜しいことをした。

 もっとも、金融緩和によるリフレ政策は、初期の段階で資産価格上昇による富裕層のメリットと、失業率低下やアルバイトの賃金上昇などで労働市場の弱者層にメリットを与える一方で、実質賃金の下落で(そうしないと雇用は改善しない)定職と定収入のある中間勤労者層にとっては、デメリットとなる。

 後者は、民主党の有力支援団体である労働組合の組合員(非正規労働者と比較して恵まれた立場にある人々)がデメリットを受けることを意味する。

 労組支援をバックとする限り、民主党がデフレ的な政策に傾きやすいのは仕方のないことかもしれない。

 今回の総選挙マニフェストでも、「柔軟な金融政策」という言葉で金融緩和の後退を謳っていた。民主党が今回政権に就いていたら、デフレに逆戻りする可能性が大いにあった。

【失敗の原因その4】
消費税に関する2つの勘違い

 ある政治家の有力な証言によると、鳩山由紀夫元首相が普天間問題で政治的暗礁に乗り上げていたとき(この問題の処理の拙さにも、官僚のサボタージュが関わっていたように思われる)、菅直人氏は「困った問題があるときには、それ以上に大きな問題を持ち出せばいい。人の関心はそちらに移るからだ。そして、普天間よりも大きな問題とは消費税だ」と鳩山氏に言い放ったのだという。

 おそらく菅氏は、消費増税が必要でありその達成は政治家として偉業であることなどを官僚に吹き込まれて、これを信じたのであろう。そしてその通りに、菅氏は急に消費増税を掲げて戦った参院選に敗れた。
菅氏の後を引き継いで首相になった野田佳彦氏も、同様に洗脳されて、ついに三党合意という政治的曲芸に引っかかって消費税率引き上げを決定した。この三党合意にあっては、元大蔵官僚である伊吹文明氏の手腕が大きかったように思う。官僚集団はOBも動員して、民主党を手玉に取った。

 しかし、今年の経済を見て明らかなように、デフレ下で、あるいはデフレ脱却を目指す途上で消費税率を引き上げることは、経済政策として不適切だった。2人の党代表が連続して経済政策に弱かったことは、民主党にとって致命的だった。

 また、野田氏の消費増税決断は当時形成されていた同氏の信念に基づいた行動だったのだろうが、2009年総選挙で民主党は、次期政権で総選挙を経ずに消費税を上げることはないと言っていたのであるから、これは有権者に対する「約束違反」だった。「消費増税を決めた首相になりたい」という野田代表の功名心が、公約違反かつ選挙なしでの増税という政治的自殺行為に、民主党を走らせてしまった。

 それにしても、消費税というカードを巧みに使うことによって、民主党に2回の国政選挙を負けさせて、その挙げ句に増税自体は決定してしまったのだから、官僚集団(主に財務省なのだろうが、曖昧に「官僚集団」としておく)の手際は鮮やかだった。そしてそのぶん、民主党の2つの誤解は哀れだった。

【失敗の原因その5】
相手の手に乗ったアベノミクス批判


 衆議院の解散発表にあたって、安倍首相は「今度の選挙はアベノミクス選挙だ」と述べた。解散する当人が争点を指定したわけだが、民主党はまんまとその挑発に乗って、対応を間違えた。

 アベノミクス自体を論じることは、必要なことでもあり、正しい。しかし民主党は、(昨年のだが)景気回復、資産価格上昇、雇用の改善などに効果のあった金融緩和も含めてアベノミクス全体を逐一批判して、心ある有権者に「やはり民主党には経済は任せられない」と思われてしまった。

 経済への無理解が根底にあったが、旧日本社会党の「何でも反対!」の悪しき野党根性を思い出させるような失敗だった。
 この点は、金融緩和を「経済回復へのかすかな光」と評価し、その先の「第三の矢」が飛ばないことに攻撃の狙いを絞った維新の党のマニフェストの方が、適切だった。

【失敗の原因その6】
「組合命!」か「改革!」か
コンセプトが曖昧


 2009年に民主党が熱烈な支持を受けた理由は、同党が掲げた「改革」、すなわち既得権勢力の解体に有権者が共感したためだった。実は国民の指向は、小泉純一郎元首相を郵政解散で支持したときと同じだったのだ。またこの点は、今回党の分裂合同のどさくさもあって選挙態勢が全く整っていなかった維新の党が、案外勢力を減らさなかったことに表れているようにも思う。

 何度も使われている「改革」という言葉には、すでに手垢が付いてしまったが、「構造改革」「既得権打破」「脱官僚」といった言葉で示される方向性を、多くの有権者はまだ支持している。

 しかし民主党には、まさに大きな既得権者である労働組合の利益代表としての側面がある。

「組合命!」の党なのか「改革!」の党なのか、党のコンセプトがまとめ切れていない点に、組織であると同時に「政治商品」としての民主党の決定的な弱点がある。有権者に再び買ってもらうためには、「改革」に近い方向性を、改革以外の言葉で集約しつつ、党のマーケティングコンセプトをまとめ直す必要があろう。

【失敗の原因その7】
変わりばえのしない看板


 落選した海江田代表にはお気の毒だが、前政権時の民主党の数々の不手際を思い出させる海江田氏を代表にいただいて選挙を戦わなければならなかった民主党の候補者諸氏にとっても、これは何とも厳しい状況だった。「総選挙はまだない」と思って油断していたのかもしれないが、選挙がなくても有権者に与えるイメージが悪すぎた。
 海江田氏以外にも、岡田克也氏、枝野幸男氏など、党の幹部の顔ぶれは、とてもフレッシュとは言い難い変わりばえのしないものであり、1人1人が前政権時の失敗のイメージと結びついている。今回の総選挙にあって与党側の最大の武器は、有権者の頭に残る民主党の前政権時代の記憶であった。民主党の執行部の人選は、明らかに敵を利した。

 これらの諸氏は、いったん党の要職から身を引いて、「民主党」という政治商品のパッケージ替えを行うべきだ。イメージ的には、元首相の3人がダメなのは当然として、前原誠司氏も良くないし、細野剛志氏あたりでもぎりぎりであり、際どい。

 民主党再生のためには、「フレッシュな顔」が不可欠だ。それはマーケティング的な常識から見て、不可避といっていい。ビジネスパーソン諸氏にとっては明らかだろう。

 もちろん、「政権放り出し」から数年のときを経て「再チャレンジ」を成功させた安倍首相のようなケースがある。一旦身を引いた諸氏が、再登場し復活することがあってもおかしくない。今は、いかにしてイメージを刷新するかに集中すべきだろう。
民主党にとって迷惑かもしれないが
菅直人氏には学ぶべきものがある

 ところで筆者の考察では、民主党凋落の最大の責任者と思える菅直人氏が、475人中475番目で当選したしぶとさには、目を見張る思いだった。しかし、同時に民主党にはまさに「患部」が残ったわけだ。

 それにしても、鳩山由紀夫氏のような資金を持っていたわけでもなく、小沢一郎氏のように徒党を組む力があったわけでもなく、世評では資金も友達も少ない通称「イラ菅」(イライラしがちなご性格らしい)なのに、ある種の人気と世渡り術だけを頼りに首相まで上り詰めて、逆風の選挙でもぎりぎり残るのだから、菅直人氏という政治家は特異なキャラクターと運を持っていると言わざるを得ない。

 民主党にとっては迷惑な存在かもしれないが、ビジネスパーソンなどにとっては、何か学ぶべき点のある人物なのかもしれない。驚きとともに一言付け加えておく。

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東京都知事選、選挙日からちょうど1週間前の2014年2月2日(日)。
出馬した細川元総理のための銀座四丁目での応援演説は、まさに
小泉純一郎の「原発ゼロ」銀座劇場だった。

埋め尽くされた聴衆を前に、

「まさか総理大臣辞めて、二度とみなさんに街頭演説する機会があるとは思いませんでしたよ」(「そうでしょー!」「ありがとう!」)

「こうして、みなさんにお話、お願いしているとね、初めて衆議院選挙に出た頃も蘇ってくるんです。」(「小泉節!」「純ちゃ~ん!」の声援)

時折聴取を笑わせながら、強いトーンでジェスチャーを使いながら語りかける様子に、往年の衰えは見られなかった。30分、一本勝負。小泉節が銀座で炸裂した。<続きは関根健次
円安が進めば輸出が増える
こんな単純な図式はもう成り立たない

 今週のマーケットは、世界的な同時株安で始まった。新興国経済の先行きに根強い懸念があるからとされる。

 東京市場も週明けの27日、日経平均株価は一時1万5000円割れとなり、400円近い大幅下落となった。

 同じくこの日政府は2013年(暦年)のかなり衝撃的な貿易統計を発表した。

 これによると13年の貿易赤字が過去最大の11兆4745億円に達したというのである。

 13年の為替レートは、12年比平均で2割以上も円安になっている。一体どうしたのか。

 輸出は価格ベースでは1割近く増えているが、数量ベースでは何と減少(1.5%)している。要するに円安によっても輸出は伸びていないのだ。

 その最大の原因は、日本企業の生産拠点が海外に移転されたため輸出が増えにくくなっていること。そしてわれわれが期待する国内生産回帰への流れは全く生じていないのだ。

 もう円安が進めば輸出が増加するという単純な図式は成り立たないだろう。

 一方の輸入は価格も数量も増えている。13年の輸入増額は12年比15%増となっている。

 これは主として火力発電への依存が強まり燃料輸入が急増したためとされる。

 ただ、この場合も円安が輸入価格を大きく押し上げているのが問題だ。

 幸い、今のところ日本の所得収支黒字の余力はある。しかしこの黒字も減少を示しているから、所得収支の黒字の拡大策も真剣に考える必要がある。

「不連続な歴史の局面」こそ
日本経済を飛躍させる

 私は現状の日本経済の流れに小手先で対応するだけでは、中長期のジリ貧傾向は避けられないと考えている。

 やはり、新技術、新商品の爆発、イノベーションがあって初めて日本の経済は再生する。

 戦後日本の経済を通覧すると分かるが、経済の新しいステージは、敗戦や石油ショックのように、大きな「経済外的要因」、「不連続な歴史の局面」によって用意されるのではないか。戦後の日本だけでなく世界の歴史にもその例は多いだろう。

「原発ゼロ」は、不連続な歴史の局面。必ず日本経済を飛躍させると私は確信している。確かに経済と生活に一時的な困難をもたらす可能性はあるが、その彼方には新しい経済、新しい生活が展望できる。ジリ貧の流れに流されることは我々日本人の進む道ではない。<田中秀征 政権ウォッチより
板垣英憲「マスコミに出ない政治経済の裏話」より以下に紹介。

◆東日本大震災・福島第1原発大事故被害に、もう1つ加えなくてはならないのが、「菅直人・野田佳彦」被害である。「3.11」から丸2年が経ったのに、復旧・復興が進んでいないのは、ひとえに「菅直人・野田佳彦」という2人の首相の「失政」が大被害を招いていたという事実だ。
 この2人の首相は、何をさておいてもスピーディに復旧、復興させるべきだったのに、こちらの方は片手間で、一番力を入れたのが「消費税増税法案を成立させること」だった。最優先すべきことをそっちのけにしていたのである。しかも、復旧・復興に最も大きなパワーを発揮できたハズの小沢一郎代表を「座敷牢」に閉じ込めたばかりでなく、「消費税増税法案」の採決で「反対」した小沢一郎代表を民主党から排除し除名したのである。
 「菅直人・野田佳彦」両首相が、「政治力」(人とカネを動かす力)フルに発揮できる政治家であるならばともかく、全くそうではないにもかかわらず、「排除の論理」と「純化路線」にこだわりすぎた。これこそ「大失政」の何ものでもない。もっとも悪いのは、多くの国民・有権者であり、マスメディアであった。「力のない指導者」の続投を認め続けたからである。これでは、被災地の人々が救われるわけがない。
◆さらにここにきて野田佳彦前首相が、「TPP交渉参加」問題で大きなことを「隠し続けていた」という驚くべき事実が判明した。東京新聞3月7日付夕刊「1面」で、「TPP日本に不利な極秘条件」「後発国再交渉できず」「11年参加表明カナダなど」「打ち切り権限も先進国」という見出しをつけて、スッパ抜いたのだ。ズバリ言えば、オバマ大統領から「TPP交渉参加」を持ちかけられた菅直人元首相はもとより、「TPP交渉参加」に意欲的で、事実上「参加」を決めていた野田佳彦前首相もこの「極秘条件」を聞かされていながら、国民に対して「隠し続けていた」ということである。
 そのクセいかにも「交渉できる」と発言していた。野田佳彦首相は「ウソつき」と言われたくないために、「衆院解散・総選挙」に踏み切ったと言われいてる。だが、小沢一郎代表をダマした「裏切り者」であり、「マニフェスト違反」で「ウソつき」となり、そのうえに「情報隠し」で国民をあざむいていたとは、呆れ果てる。

岸博幸のクリエイティブ国富論より以下に紹介


 衆院選に向けた各党の政権公約が出揃い、今週火曜に衆院選が公示となったこともあり、メディアでは各党が政権公約に掲げる政策に関する報道が増えています。

 しかし、それらの報道の多くは原発、消費税、TPPなど耳目を集める一部の政策についてばかりであり、政権公約の全体を読むと浮かび上がってくる問題点についてはほとんど報道されていません。

 その例として、先週は自民党の政権公約の問題点を説明しましたが、今週は日本維新の会の政権公約を題材に、メディアでの報道と実際の問題点にどの程度の差があるかを考えてみたいと思います。
原発政策に集中する
「維新」の公約に関するメディアでの報道

 日本維新の会の政権公約に関するメディアの報道は、基本的には原発政策に集中しています。公約では脱原発依存(“2030年代までにフェードアウト”)を掲げているのに、石原代表が党首討論会でそれを否定する発言をしたので、石原代表と橋下市長の間の矛盾を突く記事が増えるのは、ある意味でやむを得ないと言えます。

 その他、この数日は、日本維新の会が政権公約に掲げていた“最低賃金制度の廃止”を“市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革”と変更したことも報道されていました。一度決めた内容を衆院選公示のタイミングで突然変更したので、こうした政策のブレが報道されるのもやむを得ないでしょう。

 ちなみに、この最低賃金制度を巡って、石原代表は自由報道協会での会見で、“竹中平蔵が日本維新の会の政権公約を全部書いた”と、竹中氏が最低賃金制度の廃止も主張したかのような発言をしています。

 しかし、これはまったくの事実誤認であり、竹中氏は最低賃金制度の廃止など主張したこともなく、また日本維新の会の公約作成に携わった事実もありません。公党の党首ともあろう人が事実を確認もせずにいい加減な発言をするなど、 “暴走老人”という言い訳で許される次元を超えており、日本維新の会と太陽の党の合併がいかに失敗であったかを物語っています。

 いずれにしても、事実として日本維新の会の政権公約に関する報道の多くは原発問題に集中し、あとは最低賃金制度に関するブレや、TPP・消費税などに関して他の党の比較される位ではないかと思います。
メディアに報道されない本当の問題点

 しかし、よく考えると、もともと日本維新の会は原発などエネルギー政策について強い主張をしていた訳ではなく、むしろ、統治機構の改革(地方分権)や行政改革、規制改革といった構造改革的な政策を志向する政党でした。それは、今年夏の段階で公表された維新の会の原点である「維新八策」からも明らかです。

 ところが、太陽の党と合併した後に作成された政権公約の最終版をよく読むと、日本維新の会の主張のコアであったはずのそれらの政策が政権公約の初期の段階からだいぶ後退していることに気がつきます。

 例えば、規制改革については、“競争政策を徹底”というお題目だけになり、農協改革や混合診療解禁などその具体策はすべて政権公約から落ちて、公約ではない「政策実例」の部分に移され、公約の中では“農業の成長産業化”などの記載のみになっています。

 同様に、公務員制度改革については、「維新八策」の八つの柱の1つである位に重要政策だったのに、政権公約では天下りや人件費カットに関する記述がまったくなくなり、他党と比べても内容がないものになりました。

 それのみならず、政権公約では、公務員の身分保障廃止というお題目の下でなぜか“民間の高齢者が行政組織で働くチャンスを広げる”という不思議な政策を追加しています。太陽の党らしい老人にやさしい政策ということなのでしょうが、高齢者を政府が大量に抱え込むことになったら、それこそ政府は完全な機能不全に陥ってしまいます。

 即ち、日本維新の会の政権公約というと、原発問題ばかりにメディアの報道が集中していますが、実は日本維新の会のコアの政策も太陽の党との合併以降変質していることの方が、その正否は別にして、政権公約を評価するに当たっては重要なのではないでしょうか。それにも拘らずそれをまったく報道しないメディアの政策に対する理解力の低さには、ちょっと驚くしかありません。
できるだけ政権公約を全部読もう

 こうした事実を踏まえると、有権者はどの党に投票するかを決めるに当たっては、メディアの報道だけから判断せず、自分で政権公約をちゃんと読んだ上で投票行動を決めるべきではないかと改めて強く感じます。

 もちろん、今の日本維新の会は、党として何も決められないまま、みんな勝手に“公約にはああ書いてあるけど、脱原発”とか“公約にはああ書いてあるけど、原発維持”とか、都合よく有権者に約束しているという状態であり、それ自体どうなんだろうと感じますが、それ以上に、コアとなる政策の変質をどう評価するかをもっと考えるべきではないでしょうか。<岸博幸のクリエイティブ国富論>

田中良紹の「国会探検」より「石原東京都知事辞職の憂鬱」を紹介。

 石原東京都知事が突然辞職した事でメディアが大騒ぎしている。まるで私の言う来年夏までの「大政局」を操る中心人物になると見ているかのようだ。一体日本のメディアはどこを見て何を判断しているのだろうか。「尖閣購入」という「茶番」を演じて行き詰まった政治家が、先の見通しもないまま次なる茶番に突き進んでいるだけではないか。

 昨年4月に石原氏が4期目の東京都知事に当選した時、私は「石原東京都知事当選の憂鬱」と題するコラムを書いた。「立候補する事は150%ない」と言ったにもかかわらず、自民党幹事長を務めていた息子への自民党内からの批判をかわすため、政治に対する意慾より家庭の事情で都知事選に立候補したからである。

 従って当時の石原氏は既に政治家として「プッツン」していた。見識を疑わせる発言を繰り返している。3月11日の東日本大震災に対し「我欲に縛られた日本への天罰」と発言した。「文学者か評論家ならいざ知らず、未曽有の災害を前にした政治家の言葉とは思えない」と私は書いた。

 次に石原氏は「花見の自粛」や「つましい生活」を提唱した。震災が日本経済に打撃を与えている時、経済を収縮させるような発言を政治家はすべきではない。石原氏は政治家と言うより情緒や感情に流される「ただの人」にすぎなかった。「ただの人」を東京都知事に選んだことは日本の不幸だと私は思った。

 それから1年、石原氏は「尖閣諸島を東京都が購入する」という発言を日本ではなくアメリカで行った。尖閣諸島は日本が実効支配しており日中間に領土問題はないというのが日本国の立場である。それまで尖閣諸島に中国や台湾の漁船が来れば日本の海上保安庁が追い返していた。昨年の漁船衝突に際しては船長を逮捕して司法権が及んでいることも示した。そこに波風を起こさせる必要はなかった。

 東京都が島を購入するかどうかは国内問題である。それをわざわざ国際社会に出向いて発言した。その発言に中国が反発して紛争になる事は容易に想像がつく。それは領土問題の存在をアピールしたい中国の狙いにまんまと乗る事になる。ところが石原氏は日中間に領土問題が存在する事を国際社会に注目させようとした。政治家としてまるで賢明とは言えない。

 また二元外交を嫌う外務省が日中関係を東京都に左右させないため国有化に踏み切る事も容易に想像が出来る。もとより石原氏は東京都が買う事など考えてはいなかった。手続きが面倒だからである。むしろ国有化させる事を考えていた。ところが善意の国民から14億円を超える寄付金が集まってしまった。そのため国はそれを上回る20億5千万円の税金を使って地権者から島を買い取る事になった。石原氏は結果的に値段のつり上げに利用された。そして予想通り中国の反日運動に火がついた。

 私の知る右翼民族派は石原氏の行為を「許せない」と怒っている。尖閣購入のために献金をした愛国者を裏切り、自民党総裁選挙で尖閣問題を息子の援護射撃に利用させたからだと言う。だから民族派は本命だった石原伸晃氏が総裁になる事を阻止するため安倍総裁実現に全力を挙げた。彼らは石原氏の尖閣購入をただの「愛国ごっこ」に過ぎないと言う。だとすれば「ごっこ」のために日本企業は襲撃され日本経済もマイナスの影響を被る事になった。

 しかし石原氏の願いは外れ息子は自民党総裁になれなかった。すべてが狂い出したのである。「愛国ごっこ」のつけは大きい。このままでいるといずれ集中砲火の攻撃を受ける可能性がある。「尖閣購入で国益を損ねた石原」のイメージを塗り替える必要がある。それが今回の都知事からの転身である。そこで昔のように「中央集権打倒の石原」のイメージに塗り替える事にした。

 そのためには大阪維新の会の橋下市長を頼るしかない。私の見るところ石原氏は懸命に橋下氏にすがりつこうとしている。橋下氏は表向きつれないそぶりも出来ないだろうが、本当に提携する事になれば橋下ペースでの提携にならざるをえないと思う。それでは石原氏にこれからの政局を動かす力など出せるはずがない。

 石原氏は17年前に国政を捨てた。「すべての政党、ほとんどの政治家は最も利己的で卑しい保身のためにしか働いていない。自身の罪科を改めて恥じ入り、国会議員を辞職させていただく」と本会議場で大見得を切った。小泉総理の政治指南を務めた故松野頼三氏は石原氏のことを「後ろ足で砂をかけていった男が永田町に戻れるはずがない」と語っていたが、永田町には同じ思いの政治家が多いはずだ。

 永田町に戻っても都知事時代のような振る舞いが出来ない事は石原氏も良く知っているはずである。しかし石原氏は戻らざるをえないところに追い込まれた。すべては去年出るつもりのなかった4期目の都知事選に「息子の事情」で出馬し、そして今年の自民党総裁選挙で「息子を総裁」にするために尖閣問題を利用したところにある。それは政治と言うより我欲の世界の話ではないか。



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